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2009-12-04 19:08:57

「自動加入」のPTAを優良PTAに選出する神奈川県教委のロジック

テーマ:PTA
文科省のM係長の話と神奈川県教委の言うことが違うので、M係長との話し合いの後、神奈川県教委に連絡を入れた。
文科省M係長と直接話をしたY氏が対応してくださった。

当方からの問題提起のあった翌日(10/9)にさっそく文科省に問い合わせをされたとのこと。

Y氏は、「『自動加入』のPTAの選考を容認してはいない。」とのM係長の言い分に納得されない。

Y氏いわく、
「自分は次の二点、すなわち、

1)「自動加入」を規制するような法的な根拠はあるか?
2) 表彰において「自動加入」のPTAをはじく根拠はあるか?

について確認したのだが、M係長からは、1),2)いずれについても、『ない』というお返事をいただいた。具体的なことばはともかくも、『推薦することは問題ない。』と言われた。」
と、自信を持っておっしゃる。

私が、M係長は、質問項目に任意加入か自動加入かを問う項目はなく、その結果として選考に際して問題にされることはないと述べただけだと述べているがと問いかけると、
「様式(=具体的な質問項目)にあるかないかという話にはいっさいならなかった。」とも。
まるお注:当方の紹介の仕方も悪かったかもしれないが、文科省のM係長の言っていることは、「要するに自分が言わんとしたことは」ということであって、このY氏の反論は反論にはなっていないと思う。

いずれにしても、県教委は独立した機関なのであり、またM係長は少なくとも現時点では「容認していない。」とはっきり述べている以上、「表彰要項」の文言をはじめとして、文科省から教委への通知・通達や各種法令を踏まえ、ご自分たちでよく考えるべき問題のはずだと言わせていただいた。


文部省より教育委員会に対して発せられた過去の通知・通達における「PTAへの参加は任意である」とする基本的な規定にそもそも違反するではないか!と強調すると、

「総合的に判断している。その一項目のみではじかれるものではないと考えている。選考基準でも活動内容が重視されている。」
とおっしゃる。
人の思想・行動の自由を踏みつけにすることなど、たいしたマイナスにはならないということであろうか。
私には、この感覚がどうにものみこめない。
教育行政に携わる人間のこんなスタンスが許されていいとは思われない。
人権を踏みにじり、法令(憲法19条・民法90条・消費者契約法)に違反しても「かまわない」などとどうして言えるのだろうか?

確かに、「自動加入」を行っているPTAに対して、教委がそれを直接的に規制する権限を持つかという問題設定なら議論の余地があるかもしれない。
しかし、自動加入のPTAを優良PTAに選考していいかどうかなど、議論以前の問題だと思うのである。違いますか?


Y氏も問題があることはよくお分かりのようでもあるのだが、
「全国的な問題だ(神奈川だけを問題にされても困る)。国のほうで音頭を取ってくれないと県としては、動きにくい。」
とも言われる。
お気持ちは分からないでもないが、「自動加入」のPTAだと百も承知の上で優良PTAとして表彰していることが判明しているのは、神奈川県と横浜市のみなのだ。

国は国で改善に向けた音頭を取るべく努める。神奈川県は神奈川県で改善に向けて動き出す。
そうあるべきではないだろうか。

12月は議会でお忙しいとのことで年末を目途にご検討をいただくことを約束し、話し合いを終えた。


次の記事では、「優良PTAに「自動加入」のPTAを選出してもかまわない」というロジック(神奈川県教委が積極的な主張し、文科省も消極的であれ認めていると思われる)をさらに突っ込んで検討してみたいと思います。


追記
「消費者契約法」の「逐条解説」においてPTAが同法の言う「事業者」に含められていることを、Y氏もご存じなかった。
その事実を知り、Y氏もPTAの「説明責任」については認めざるをえないのかという気持ちになられたようだ(まるおの推測)。
氏は「文科省がその法律を踏まえて全国に呼びかけてくれると動きやすいのですがね。」とも言う。
それに対しては、「『みなさんこういう法律がありますから注意してくださいね。』てなアナウンスを文科省に期待するのはおかしいのでは。独立した教育行政機関として常に法に照らしてご自分たちの行動を律していくべきではないのですか。」と生意気ながら、申し上げさせてもらった。

(まるお注:というよりも、今思いいたったが、「みなさん、注意してくださいね!」という国からのアナウンスが「逐条解説」なのでは!)





1 ■おかしいですね
優良PTAを選出するにあたって役人が関わっていながら(税金を使ってやっていることでありながら)嘆かわしいですね。
 そもそも優良PTA表彰なるものが、ホテルを使って盛大に行われることも問題なのでは、とも思えます。また、表彰されるためにそもそも活動をするものなのでしょうPTAって、とも思ってしまいます。


2 ■訂正です
また、表彰されるためにそもそも活動をするものなのでしょうPTAって、とも思ってしまいます。→また、表彰されるためにそもそも活動をするものなのでしょうか?PTAって、とも思ってしまいます。
 失礼しました。

3 ■Re:おかしいですね
>柳下玲優さん
こんにちは!
ほんとうにおかしいですね。
ちなみに、11月18日に
ホテルニューオータニ
で行われたそうですね。

「自動加入」のPTAが『優良PTA』として国から表彰されるということは、教委や文科省が「全員自動加入体制」を正式に認知しているということを意味すると思うのですよね。
ですから、これは絶対に許しがたい!というよりも、もうこれはスキャンダルだと思うのですがね。
(公務員の服務違反にならないのかしら?)

ちなみに、文科大臣表彰を受けるのはごく少数とも言えますが、県教委表彰や市教委による表彰、さらには日P会長表彰などまで含めますと、毎年度何十校(三桁もありか)という相当な数になります。
例えば、本年度、神奈川県教委から表彰を受けたPTAは、なんと45校のようです。
10年間で450校ですよ。
市教委レベルまで数えるとどうなるか…。

こうなると、関係者に対する「表彰されないことのプレッシャー」は相当なものになるはずです。
これは、現場で無駄な仕事がなくならない一つの大きな要因になっているように思います。

逆に言えば、この制度の選考基準を「まとものもの」にすれば、いっきにPTA問題は解決に向うことになるはずです。

私は、この「優良PTA」問題にとことんこだわっていくつもりです。
そしていずれこんな制度はなくなるほうがいいと思っています。
税金を使ってやるようなこととは思えません。

その意味でも、横浜市教委の「悪事」を発掘してくださったこと、本当に感謝です。

4 ■11月18日は120を表彰
今年11.18の表彰対象は120のようです。
ナイサー(nicer)のサイト――http://www.nicer.go.jp/――で↓が見られます。
http://www.nicer.go.jp/lom/data/contents/bgj/2009111102015.pdf

5 ■Re:11月18日は120を表彰
>FJNさん
>FJNさん
また素敵な資料、ありがとうございます!
そうですか。
文科大臣より表彰されるのは、全国で120校ですか。一県あたり、3校弱ですね。
これに県レベル、市レベルでの表彰を加えると、日本全国では、ものすごい数になりますよね。
間違いなく四桁。
そして、その頂点に位置するのが、120校。

資料を見させていただくと、S氏とM係長がまさに中核となり表彰活動を取り仕切っているのが改めて感じられます。
言ってみれば、全国のPTAの頂点の「仕分け人」。
そして、県レベル、市レベルの表彰も多くのところで、文科省の示す「表彰基準」をそのまま使うか参考にしていることを考えると、全国のPTAの「指導者(リモートコントローラー)」ともいうべき位置にいるのがお二人とも言えます。
お示しの資料で、そのような構図が見えてまいった気がいたします。

それにしても、それぞれの学校の「表彰理由」を見るにつけ、「これじゃあ、『無駄』な仕事がなくならないわけだ…」とため息が出てきます。

そのような活動をやりたい人がやるのなら、「どうぞご自由に。」でもあるわけですが、「自動加入」、つまり有無を言わせず保護者(=国民)を活動に巻き込んでいるのだとしたら、もう本当に許しがたいと思うのです。
もう、これは、国家による「思想教育」とも言うべきなのではないかとも思うのです。
(熱くなり、失礼しました…。)

彼ら(神奈川県教委・文科省M係長)は、「選考に当たっては、活動を評価しています。加入のあり方は選考基準には含められていません。」などと、いったいどこからそんな言い分を持ち出してくるの?と言いたくなるような、無茶苦茶な言い逃れ(失礼!でも、そう思います-)をしてきているわけですが、それを突き崩す上でも、この資料は、活用できそうです。
というのは、「選考理由」を見ると、明らかに「組織のあり方」も問題にされているので。

いつもいつも、ありがとうございます<(_ _)>

ちなみに、高校の優良PTAの表彰は、本年8月27日、沖縄コンベンションセンターで行われたそうですね。(お教えいただいたナイサー(nicer)に出ていました。)