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2009-11-22 21:53:39

2006.1「人権教育の指導方法の在り方について[第二次とりまとめ]」にすでに語られている思想

テーマ:PTA
塩尻市立吉田小学校が昨年度から文部科学省の「人権教育研究指定校」であるにもかかわらず、また昨年度同行PTAが文部科学大臣表彰優良PTAに選出されているにもかかわらず、そのPTAにおいて人権上問題のある振る舞い(入会と役務の強要、プライバシーの侵害)が認められることは、先に見た。

その事実を知り私が特に驚いたのは、「人権教育研究指定校」であるならば当然「熟読玩味」しているはずである「人権教育の指導方法の在り方について[第三次とりまとめ]」に書かれてある留意事項と矛盾する振る舞いを行っている点だった。
その留意事項とは前の記事にも触れているが、

人権教育が成り立つためには、学校は「全ての関係者の人権が尊重されている場」でなくてはならない

というものである。

こうした考えがはっきりと謳われているのに、なぜ保護者の選択権、思想信条の自由をやすやすと踏みにじることができるのか?


第三次とりまとめが出たのは、2008年の3月。
あるいは、そこで述べられていることが現場に浸透するまでにはタイムラグがあるのかもしれないとも思った。

ところが、第三次とりまとめに先立つ第二次とりまとめを見てみると、まったく同じ考えがはっきりと述べられている。

***
なお、このような人権教育が効果を挙げうるためには、まず、その教育・学習の場である学校・学級自体が、人権尊重が徹底し、人権尊重の精神がみなぎっている環境であることが求められる。このことは、教育一般においても言えるが、とりわけ人権教育においては、その教育内容や方法の在り方と共に、教育・学習の場そのものの雰囲気の在り方がきわめて重要な意味を持つ。教職員同士の関係、教職員と児童生徒の関係、児童生徒同士の関係等々の人間関係や全体としての雰囲気など、学校・学級の在り方そのものが、人権教育の基盤をなすのである。この基盤づくりは、校長をはじめ、教職員一人一人の意識と努力により、即座に取り組めるものであり、また取り組むべきものである。
***

この第二次取りまとめは、2006年1月に出ている。
タイムラグなどでは、まったくないわけだ。
(ちなみに、第一次とりまとめは、2004年6月)


次回は、「人権教育の指導方法の在り方について[第三次とりまとめ]」中の、PTA問題と関係があると思われる部分を抜き出し、特に教育委員会や学校長、教職員が取り組むべき課題について整理したいと思います。





1 ■彼らの辞書には人権はありません。
主様、深夜に失礼致します。
お疲れ様です。

人権教育について、そもそも私が2年前より現在の問題を追及するきっかけとなったのが「人権」なのです。
学校は縦割りの弊害で、文科省以外の事業を認めない、そんなところだと実感しております。
だから”学童に通う子供たち”を差別し、児童虐待とも言える行為をしたのでしょう。

彼らの人権教育は公務を遂行するのと同様、形だけのものであり、”心”は存在しておりません。

沖縄で再び中学生による暴行致死事件が発生してしまいました。
なぜ彼らが心を開かないのか、形ばかりで、”やんちゃ”を経験していない彼らには、もしかしたら理解出来ないのかもしれません。

当該学校区の就学援助率は、開示公開文書の一つによると40.2%にも上るそうです。
そのような環境でありながら月額550円のPTA会費と350円の教育推進費を徴収し、有料音楽鑑賞会や演劇鑑賞会を催す学校側の姿勢は理解出来ずにおります。
学童のトイレも受益者負担による設置です。

本県の実情は”メチャクチャ”であります。
(長文失礼致しました。)

2 ■Re:彼らの辞書には人権はありません。
>PTAのあり方とは・・さん
「縦割りの弊害」は、丸山真男の言う「タコツボ型社会」の帰結なのでしょうかね。

私は人権教育が形だけのものとまでは思いませんが、人権というと「差別・排除はいかん!」ということだけが意識され、「個人の自由の尊重」というもう一つの大切な柱がほとんど意識されないのが、PTAがらみで言えば、大変に問題だと思っています。

3 ■Re:Re:彼らの辞書には人権はありません。
>まるおさん
「タコつぼ型」・・少し勉強してみました。
良く分からないのですが、サムライ社会は家老も殿様と呼ばれつつ、大殿の実権により統制されていた側面があると思いますし、そのタガが外れることは結構あったと思います。

日本人の発想は海洋国家の特徴で、自然の要害により平和的友好的であり、主張せずお互いに譲り合い、思考内容は皆一緒との思いこみがある、と指摘する学者もいるようです。

現在の人権教育が形だけ、とする理由はまさに「根」の存在がない状況での教育の実態を指しております。

先生様からの受け売りなのですが、(内政的には、)今こそ「憲法」とその精神にに求めるべきだと思います。
(ちなみに、9条問題ではありません。)

結局、私が法律論に解決策としての期待を寄せたのも「共通の約束事」として認められているからであり、これしかないと思うからなのです。
(自分で書いていて、意味が解らなくなってしましました。失礼致しました。)


4 ■行き過ぎた個人主義って?
>人権というと「差別・排除はいかん!」ということだけが意識され、「個人の自由の尊重」というもう一つの大切な柱がほとんど意識されないのが、PTAがらみで言えば、大変に問題だと思っています。

あぁっ、ホント、おっしゃる通りです。奈良は子供もPTAも人権教育が盛んな地なんです。その為の箱物まで建っているくらい。だけど、保護者の人権は尊重されてないなぁと。個人主義の本、一度は読まねば、と思ったのは確か夏だったのに、なかなか追いつかず済みません。

5 ■Re:Re:Re:彼らの辞書には人権はありません。
>PTAのあり方とは・・さん
地理的条件は確かに無視できないように思います。
同じ島国でもイギリスは大陸との距離が近く、繰り返し他民族の侵略を受けており、実は大陸の一部とも言うべきだと鈴木孝夫氏が述べておられますね(「閉ざされた言語・日本語の世界」四 日本文化と日本人の言語観 1異民族、異文化との特殊な接触形態)。
その点、日本は日本海と玄界灘の荒海にしっかりと守られてきた。そうかと言って、大洋の孤島でもなく、先進の文化・文明はしっかりと取り入れることができた、と。
このような点での日本の特殊性は、PTA問題を考える上でも私は大きなポイントだと思っています。
おっしゃるとおり、平和的で友好的である半面、「みんないっしょ」の思い込みを持ちやすく、「まあまあなあなあ」にもなりやすいのだと思います。
そこで不当にも踏みつけにされるのが、少数者、「変わり者」です。

あり方さんの言う、日本に存在しない「根」とは、遵守されるものとしての憲法や法令のことですよね(?)。
これまたちゃんと理解できているか自信はありませんが、よく分かる気がします。

私もPTA問題を通じて、いかに「法令」が蔑ろにされているか実感しています。
川島武宜氏の「日本人の法意識」(岩波新書)によると、ヨーロッパの用語伝統においては、法令と権利とは、ひとつのことばであらわされていたそうですね!

法令が蔑ろにされているということは権利、人権が蔑ろにされていることでもある。
「権利のための闘争」という有名な翻訳書がありますね。
あの「権利」は、「法律」と訳すことも可能だそうです。

法・権利の遵守される社会を目指しての「闘争」。
PTA問題の解決に向けての活動もその一環だと思っています。

6 ■Re:行き過ぎた個人主義って?
>とまてさん
平城東中学の校長先生も、奈良は人権教育が盛んだとおっしゃっていました。

>その為の箱物まで建っているくらい。だけど、保護者の人権は尊重されてないなぁと。
この点は、教育行政に携わる人に本当に真剣に考えてほしい問題ですね。
お母さんの人権が社会から大切にされていないで、子どもに人権意識が芽生えるはずもないと思うのですよね。
現状では、「長いものには巻かれるべし。巻かれないやつは打たれるべし。」との価値観が無意識的に根付くように思います。

日Pの会長の「行き過ぎた個人主義は問題」との発言は、利己主義と個人主義をごっちゃにしてしまっています。
もしそうでないと言うなら、その主張は、法令・人権遵守の価値観とは異次元の、言わば宗教的な主張だと思うのですよね。

宗教的な信念を宗教的な信念として述べるのはご本人の自由ですが、保護者の代表としての発言としては極めて不適切だと思います。

日Pの会長の発言に感じる不快感は、宗教的な価値観を押し付けられることの不快感のように思います。

7 ■Re:Re:Re:Re:彼らの辞書には人権はありません。
>まるおさん
お疲れ様です。
明日提出する(あ、今日だ!)意見陳述書を作成しようと起きだしたところです。12月4日に意見陳述します。
今回はソーシャルワーカー立会要請に関する監査請求なのですが、30日提出予定の「学校管理の現状に関する監査請求」の前哨戦として”気合い”を入れております。

>あり方さんの言う、日本に存在しない「根」とは、遵守されるものとしての憲法や法令のことですよね(?)。
そうです。
先生様の受け売りなのですが、特に憲法については必要性を感じます。
当地の中学生暴行致死事件も、この辺の教育(人権や憲法から民法、刑法などへの広がり)がなされていたら、もしかしたら思いとどまっていたのではないか・・などと考えます。
日本の現状は、企業の世界でも、個人の発想も、まさに「タコつぼ」に入ってしまっている気がします。
「鈴木孝夫氏」「川島武宜氏」・・色々と教えて頂き感謝申し上げます。
これから諸問題を考える上で役に立ちます。
勉強します。
「言語からのアプローチ」、何気なく眺めていたのですが、興味深いです。
(長文、失礼致しました。)