<115> #9

2010-03-30 00:20:52

「『自動加入』は人権侵害とは言えない」(By神奈川県教委)※追記あり

テーマ:PTA
<神奈川県教委からの再々回答(3/25)>の続報です。

前記事で次のように述べた。
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ご自分たちの言い分が成り立たなくなった途端に、「結論は出ていない」論を振り回すのはおかしくありませんか?!

自動加入のPTAを優良PTAとして選出する以上は、「自動加入」が消費者契約法上も、また人権擁護の観点においても、なぜ問題にはならないのか、ご説明いただきたいと思う。
***

先週の金曜日(3/26)、↑の要請を電話にて直接伝えた。年度末のお忙しい時だろうし、前回ずいぶん時間をとらせたので、質問だけ伝え、すぐにご無礼しようと思っていたら、「ブログで『アンフェア』だと言われているが納得できない」という話になり、また話し合いになりました。

どうやら神奈川県教委の言い分としては、
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曰く、消費者契約法の事業者にPTAは該当しないと消費者庁より言われた。
曰く、その学校の保護者のみんなで考えたことには新入生の保護者は従う必要があるのではないか。
(前記事より引用)
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という、(すでに取り下げているだろうと当方が思っていた)主張は今でも有効であるという認識のようなのだ(驚)。

前者については、「該当しない」というのは言いすぎだったかもしれないが、依然として「PTAは事業者として確定してはいない」という主張だ。つまり、「法に触れる可能性がある」ことは認めるものの「確定はしていないでしょ」と。
“「法に触れる可能性のあること」はやめよう”とする「良識」を求めても無駄なようだ…。

後者については、つい口にしてしまっただけで、当然のこと撤回してくれたものとばかり思っていたのだが、取り下げるつもりはないようなのだ。


担当のYさんの説明を再現してみよう。
まず、次の命題(命題1)は文科省の係長氏も認めてくれていると言う。

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(命題1)
PTAに関しては、入会を含めたPTAのありかたについては、それぞれのPTAで判断すること。
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担当のYさんが「そうですよね?」と確認すると、
文科省の係長氏は、「そうです。」とはっきりと答えたそうだ。

で、ここから神奈川県教委は、次のような命題(命題2)を導く。

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(命題2)
PTAの決めごとは、新入生の保護者(PTA未加入者)に対しても、そのPTAの判断により適用しうる。
つまり、そのPTAが自動加入方式を採用し、それを当該学校の全保護者に適用することを決めたのなら、その決定は効力を持つ。
よって、自動加入方式は、人権上問題であるとは言えない。
よって、自動加入方式のPTAを優良PTAとして選出することに問題はない。
**

どう思われますか?
わたしは、命題1と命題2には大きな隔たりがあると思うのだが、神奈川県教委は「隔たりはない」と言うのです。

ちなみに、この判断(命題2)は、担当のYさん個人の判断ではなく、神奈川県教委生涯学習文化財課で検討したうえでの判断だそうです。

なぜ法的な根拠のない一社会教育関連団体が、会員でない者、つまり「未会員」の行動を縛れると言うのでしょう??
人権(自由権、自己選択権)をいったいどう考えているのでしょう?
全く信じられない思いです。

しかし、考えてみると、「自動加入方式」を正当化しようとするならば、”そう言い張るしかない”のでしょうね。

しかし、しかし、公務員がこんなこと言っていいのでしょうか?
憲法99条には、

「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」

と「公務員の憲法尊重擁護の義務」が書かれています。
公務員が国民の思想信条の自由(憲法19条)をないがしろにすることを言っていいのでしょうかね。

神奈川県教委も横浜市教委も、この問題を最初に問いかけた時、「実態がそうなっていますから」と言いました。
実態が憲法の求めるものに反するならば、それを容認、追従するのではなく、是正する努力が求められるのではないのですか。公務員には。
それが、「憲法を尊重し擁護する」ということではないのでしょうか。

ちなみに、Yさんが所属する生涯学習文化財課社会教育班の職務には「人権教育の推進」があるのですよね…。


PTAには「自動加入」を行う権限があるのか?
こんなことは、論ずるまでもないことだと思っていましたが、神奈川県教委は「ある」と言います。(だから、自動加入のPTAを優良PTAとして選出することに問題はないと。)

この問題、私なりに、弁護士や法務省の人権擁護局等に確認し、神奈川県教委のスタンスの是正を改めて求めたいと思っています。

皆さまのお知恵もぜひお貸しくださいませ。
(神奈川県教委の言い分は正しいのではという意見も大歓迎です。)


なお、担当のYさんは3/24に文科省に問い合わせたそうです。
一つは、「自動加入」のPTAを優良PTAに推薦していいかどうかの再確認。
Yさんが言うには、今回【も】「構わない」と言われたと。
(まるお注:わたしはわたしで文科省の係長氏から「自動加入を容認してはいない」と何度もこの耳で聞いています。私見では、神奈川県教委のYさん(たち)は、今回の命題1から命題の2を導くような、ご自分たちに都合のいい「飛躍」を行っているように思っています。
あるいは、文科省の係長氏が極めて「ずるい」対応をしているのか…。
文科省の係長氏にぜひ確認したいところです。)

もう一つは、次年度の優良PTAの選出基準に大きな変更はないかの確認。
文科省の答えは、「特段の変更はありません」。

追記1
ここでのテーマにもろ関連するエントリをカワバタさんがブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」に書いてくれていますね。
<今さらですが、PTAの自動加入がいけないわけ。そして、退会条項が必要なわけ。>
もうお読みの方が多いと思いますが、必読です!


追記2
自動加入の不適切さをめぐる「つぶやき」集
・論点はもはや、任意かどうか、ではなくて、任意は当然なのだけど、会員に周知するか隠しおおせるか、なんですね(笑)。 (カワバタさんTwitter)

・自動加入を認めることは、法令ではなく、「先輩たちの決めたことには従うべき」というムラの掟で動いているということ。(里山たぬ子さん)





1 ■お疲れさまです
納得がいかないですね。
 新入生の保護者が自動的に会員になってしまう学校を優良PTAに推薦するなんてそんな『人権無視であり会費支払いの強要をする学校』を《よし》とする表彰は廃止した方がいいのでは、と思います。それこそ、人に嫌な思いをさせるとんでもない賞だと思います。それともとりあえず自動入会であってもすぐ、退会すればいいのでしょうか。(でも、これがなかなかしにくいんですよね。近所やクラスに噂等流されそうで)
 そもそも任意団体であるPTAを表彰する時の選考に時間をかける、すなわち『そんなところに税金を使う』ということになりますね。表彰式に出席するにもお役人さんの手当も支給されるのでしょう。会場費も費用がかかると思います。税金の無駄遣いに思います。違ったところに税金を有効に使って欲しいと思います。そろそろ優良PTA表彰は廃止にしてもいい時期のような気がします。

2 ■Re:お疲れさまです
>柳下玲優さん
自動加入ということは、会費の支払いも「自動的に求める」ことになりますね。
いったい、そんなことをする法的な根拠がどこにあるのかですよね。

「法的な根拠なしに人の行動を制限することは許されない」と思っていましたが、違うのでしょうかね?
ぜひ確認したいと思っています。

コメント、ありがとうございました。

3 ■「 長幼の序 」

「 命題1 」から「 命題2 」への「 論理の飛躍 」を支えているのは、
やっぱり「 長幼の序 」という規範意識じゃないかな…。


「 目下の者は、目上の者に従うべき。 」 みたいな。



森有正さんは、日本人の人間関係の特徴を
「 上下的 かつ 一体的 」と表現しているそうだけど、
それを言い換えると
「 長幼の序 & 和の精神 」になるような…。

4 ■学校を変えましょう
サクラが咲く新年度に、学校を変え、子供達を救いませんか。不登校、退学、ひきこもり、ニート、うつ病、自殺にする学校教育から、子供達を助ける必要があります。
 PTA総会から、草の根の学校改革を始めましょう。
最初の質問は、「先生方は『おバカ教育の構造』(阿吽正望 日新報道)を読みましたか。この本には、現在の学校教育は、指導内容も指導方法も教科書もデタラメであると書いてあります。専門家として先生方は、現在の教育をどのように考えていますか。」です。
「優れたもの」との返答なら、「学校の教育を信頼して良いのですね」と畳みかけます。
次の質問は、「子供の将来のためには、『学校に通わせる』のと『塾に通わせる』のとでは、どちらが大事でしょうか」です。「学校」との返答には、「子供に必要な知識や学力を、間違いなく身に付けさせてもらえるのですね」と確認します。
「子供達の教育に責任を持ちます」との言葉を、学校と教員から引き出しましょう。
友達に声をかけ仲間を作り、教員の言い訳を許さず、専門職としての責任を果たすよう、徹底的に要求して行きましょう。
PTA総会を、教員と親の議論の場にしましょう。そこから学校が変わる筈です。
日本全国の親に呼びかけています。


5 ■なんでやねん!
>消費者契約法の事業者にPTAは該当しないと消費者庁より言われた。

 消費者庁も消費者を保護するつもりがあるのか否か怪しいものですね。お金を集める以上、事業者であることには違いない。法人化してるのは日Pのみで、日Pには個人会員はいない。連合体は法人ではない。従って、法的には、日Pに会員はいない。一方、どこかのPTAでは保険の掛け金の内部留保に課税された事実もある。この国には法律はあってないようなものなのかなあ?

6 ■コメント、ありがとうございます(含む、消費者庁の対応)
>里山たぬ子さん
そのようにでも考えないと、どうして新入生の保護者【全員】が法的な権限など一切ない一任意団体の決めごとに従わないといけないのかが説明がつかないですね。
いっこくさんのおっしゃる通り、「この国には法律はあってないようなもの」なのかもしれません…。

>いっこくさん
説明が足りませんでしたが、以前に少しふれたのですが、消費者庁は「適用はありうる」という立場です。
http://ameblo.jp/maruo-jp/entry-10452491661.html

神奈川県の担当者氏が確認したのは非常勤の相談員の方、当方は、込み入った相談があると言って、消費者契約法の担当部局である消費者庁企画課の職員(いわゆる官僚)に対応してもらいました。
「相談員」は、一通りの研修は受けておられるようですが、消費者相談全般を担当しており、消費者契約法のスペシャリストというわけではないようです。

>なでしこさん
何度かエントリに直接関係しない、しかもほとんど同じコメントが続いていますね。
今後同様のレスがあった場合は、削除させていただきますので、ご了解ください。

7 ■そうでしょう
>消費者庁は「適用はありうる」という立場です。
と、ここにも書いてらっしゃいましたよね。おかしいなと思ってました。私は最近ボケてます。
「あなたは会員だから会費を払え」というのが、消費者契約法の事業者では無いから通用するのだったら、詐欺のし放題じゃあないですか。


8 ■あらまぁ!
「自動加入」にまつわる人権問題と、PTAが教委にもたらすメリットを天秤にかけたのでしょうか。

9 ■コメント、ありがとうございます
>terakoyaohesoさん
>「あなたは会員だから会費を払え」というのが、消費者契約法の事業者では無いから通用するのだったら、詐欺のし放題じゃあないですか。

なるほど。
PTAが「個人」ではないことはだれもが認めることなので、「(お金を集めておいて)もしも『事業者』ではないと言うなら、じゃあ何なの!?」という突っ込みが成り立ちますね。
(この理解、御コメントからずれていませんよね…?)

猫紫紺さん>
>「自動加入」にまつわる人権問題と、PTAが教委にもたらすメリットを天秤にかけたのでしょうか。

謎ですね。
それにしても、

「自動加入は人権問題とは言えない。」

なんて。