<196> #3

2011-12-30 16:36:23

仙台市教育課題研究発表会「入退会自由なPTAを求めて」を聞いて(1) 社会教育主事をめぐり

テーマ:PTA
前エントリで触れました、第37回仙台市教育研究発表会「入退会自由なPTAを求めて」に参加してきました。
ちなみに、会場の仙台市教育センターは、仙台市教育委員会の一部局です。発表者の顔ぶれを見ても大多数が教職員ですし、司会者も教育委員会の方でした。やはり、実質的には仙台市教育委員会主催の研究発表会と言っていいようです。


<PTA問題解決のために社会教育主事が果たすべき役割をめぐって>
お目当ての研究発表の一つ前に「嘱託社会教育主事」の役割について考える、現役の小中学校の先生たち八人による発表がありました。

「地域と学校とのかかわりを深めるための嘱託社会教育主事の役割について
~太白区中央市民センター及び生出市民センターでの聞き取り調査を通して~」

ひょんなことから、この発表を聞いて意見を言うことになったので、まずこの発表についてお話しさせていただきます。

(「嘱託社会教育主事」とは)
「仙台市嘱託社会教育主事」とは、仙台市立学校に勤務しながら社会教育主事の資格を有する教員に仙台市教育委員会が委嘱し、仙台市の社会教育の推進に努めることを目的に置かれる役職。「仙台市嘱託社会教育主事」は、昭和46年度から置かれるようになり、今年度においては、市内119校に205名が配置・委嘱されているとのこと。
(当日配布のハンドアウトp.1参照)

つまり、この制度はすでに40年前から始まっており、現時点においては、1校当たり約2名の社会教育主事が配置されているということになります。


発表の結論としては、地域と学校の連携を積極的に行い、社会教育や学校教育の効果を一層高めていかなくてはならない。そのためのコーディネーターとしての役割が、嘱託社会教育主事には求められている、というものでした。(当日配布のハンドアウトp.3結論部参照)


(予定外の質問をすることに)
実は、当初発表内容を知らずに会場の外で待っていたのですが、「入りなよ」とばかりにドアを開けられたので、恐縮しつつ入ったのでした。
入ってみると、上記のような、「社会教育主事」が地域と学校の連携をより深めていくには何をすればいいか、といった話がされていたわけです。


で、質疑応答の時間になったのですが、誰も質問をしません。
それで、途中からの入室での質問をお詫びしつつ、次の「入退会自由なPTAを求めて」を東京から聞きに来たものだと簡単に自己紹介をしたうえで、前々から気になっていた「社会教育主事」の果たすべき役割について、以下のようなことを投げかけてみました。

*****
社会教育法や文科省の通知にあるように、「社会教育関連団体への指導・助言」が社会教育主事の仕事とされている。しかるに、全国的に、PTAの強制的加入や役職の強要に対して、社会教育主事がしかるべく指導・助言を行ったというケースは聞かない。これは問題だと思う。
地域と学校の連携をはかるのは結構なことだけれど、大前提として保護者の自由意思がきちんと保障される必要がある。
社会教育主事の存在感が全国的に極めて希薄なことが気になっていた。
その点で、社会教育主事である先生方には、PTA運営の正常化、つまり、「入退会自由なPTAの実現」に向けて、積極的に役割を果たしてほしいと思っているが、どんなものでしょう?
*****
文科省通知;http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/gakugei/syuji/index.htm

八人の中のお一人の先生が質問にお答えになりました。
いわく、

*****
想定外の質問だったので、個人の考えだが、
われわれは教育委員会からふられてはじめて行動できる…。
また、なにぶん、今年の夏、研修を受けたばかりなので…。
これから、勉強していきたいと思う。
*****

私の方からは、いきなりぶしつけな質問をしたことを詫びつつ、組織の中のお立場もあろうとは思うけれども、法律によって社会教育関連団体への指導・助言という大切な役割を与えられているのだから、上からの指示を待っているのではなく積極的に動いていただきたいということと、これからの課題としてぜひ取り組んでいただきたいとお願い申し上げた。

終了後には、ふたりの先生が当方のところまでわざわざ足を運び、丁寧なご挨拶をいただいた。しかし、少し残念だったのは、PTAの強制加入、役職の強要の問題性については今一つ通じていないようだったのと、すぐ次の発表で、そのPTA問題がまさに取り上げられるというのに、教室を埋め尽くしていた、発表者やその他の社会教育主事とおぼしき面々の誰一人として「入退会自由なPTAを求めて」には参加されなかったことです(当方の勘違いなら平にご容赦)。


PTA問題において、仙台市嘱託社会教育主事の方々の果たす役割には注目していきたいと思っています。





 ■無題
ちょうどその時間帯に別会場で社会教育主事必見の発表があった、と思いたいところですが...
まるおさんの質問があってなお皆さんいなくなってしまったのは「事なかれ主義」「君子危うきに近寄らず」「社会教育主事はPTAとは無関係という認識」なのでしょうね。非常に残念でした。

2 ■Re:無題(もしかして隔離されていたのか?)
>Poisonous_Radio(デムパ)さん
その節は、お世話になりました!

デンパさんも御ブログで、辛口の突っ込みを入れておられますね(笑)。

*****
直前の発表までは教員で満員近かった会場だが、PTAについての発表が始まるころにはほとんどいなくなっていて、教員側の意識の低さが気になった。
*****
http://d.hatena.ne.jp/Poisonous_Radio/20111227/1324986915#tb

私も、「えっ?!」でしたよ。


>ちょうどその時間帯に別会場で社会教育主事必見の発表があった、と思いたいところですが...

プログラム、改めて見てきましたよ。
そうしたら、面白いことに気づきました。

我々の会場は第7分科会でしたが、第10分科会(PTA/社会学級/学校支援 地域連携/学校支援地域本部事業)というのもあったのですね。
そこでは、PTA会長や副会長も【午前中に】発表をされています。
PTA本部役員や会員も多数参加していたものと思われます。
この分科会で桝谷さんのご発表もあった方が、PTA本部役員や会員さんとの意見交換もできて、より意義深い発表会になったのではないのかな。
http://www.sendai-c.ed.jp/kyoshokuweb7.5up/h23_puroguramu.pdf

なお、第10分科会Ⅳ①の発表を見ると、「学校支援地域本部事業」と「社会教育主事」の仕事とはリンクしているようですね。

3 ■Re:Re:無題(もしかして隔離されていたのか?)
>まるおさん
ようするにマイナーセッションの最後の最後に隔離されていたわけですよね。
発表を認めたのはたいした物ですが、そういう扱いだと発表の許可も事なかれ主義によるものだと思えてしまいますね。
問題を先送りしても良い事はなにも無いと思うんですけどねぇ。