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2012-06-01 17:16:41

留学生に聞くPTA⑥ 日・台の保護者組織の対照的な姿 -日本のPTAは母親を苦しめる

テーマ:留学生に聞く「PTA」
同じく三年生のゼミ生のY.IさんにもPTAのことを聞いてみた。

正確にはYさんは留学生ではない。
小学校の4年生の途中まで台湾の地元の小学校に通い、小学校の4年の途中から中学3年までは台湾にある日本人学校で勉強し、高校進学の折、日本に一家で移り高校は都立高校に通った。
お父さんが日本人で、お母さんが台湾の人とのこと。

そのような背景があるため、日本語が完璧でありつつ、台湾や中国の文化・事情にもとても詳しい。


Yさんは、お母さんから話を聞いたり、ネットを使って台湾の保護者会のことをいろいろと調べてきてくれた。

やはり、台湾の保護者会は強制とは無縁のようだ。
彼女の記憶では「会費」は授業料といっしょに集められるが、活動を実際にするのは、社会的な地位もあり、金銭的にもかなり余裕のあるごくごく一部の保護者であると。
クラスで一人か二人ではないかと思うと。

会長になるのは、とても名誉なことと考えられているようだ。
会長や役員になると、会費以外にも何かと寄付をしたりで持ち出しがあるそうだ。

役員の主な役割は、お金を出すことと、会議に出席して学校の運営について意見や助言を述べることだと思うと。

会長や役員の子どもは、学校から特別扱いされる面があるが、えこひいきというよりも、実際に優秀でまじめな生徒が多いそうだ。
親が役員で子どもがクラス委員ということがよくあったと。


「ネットでいろいろ調べてみたが、自分が体験したことは一般的なことといってよさそうです。」とのこと。

「じゃあ、運動会のお手伝いなどの下働き的なことは保護者会ではしないの?」と聞くと、それは学校がボランティアを募るとけっこう手伝う人が出てくるというのだ。


さらに非常に興味深い話が聞けた。

台湾の小学校に通っていた4年生までは「PTA」の存在は彼女のお家ではまったくと言っていいほど意識に上らなかったと。ところが、日本人学校に転校したら、急にPTAがお母さんを苦しめはじめたことを彼女は印象深く覚えているのだ。
台湾の小学校では義務でも何でもなかった保護者活動が日本人学校に入ると義務になってしまったというわけだ。

日本人学校はうちからクルマで40分かかるところにあり、その送り迎えだけでも大変なのに、その上PTA活動への参加が求められてお母さんは大変そうだったと。
彼女のお家は日本料理店を経営されていてお母さんはそちらの仕事でとても忙しかったそうだ。その事情を話せば役員はしなくてもよかったそうだが、談話会には出ざるを得ない雰囲気で、その参加も負担になっていたと。

「やっぱり、違うんですね。」と私が言うと、「日本のPTAのようなものが自分の国にもあるのではないかと思い、自分の記憶をたどったりネット等も見てみたけれどないんですよ。」と。
留学生に聞くPTA⑤で紹介した韓国人のI.Sさんもその話に大きくうなづく。


う~ん、やっぱり、日本のPTAって、相当変わっているみたいですよ・・。


追伸
Yさんは、先生たちと保護者が協力して活動をしたりして保護者と教師の距離が近い点は、日本型のいいところだと思うと述べている。