<43> #5

2009-09-12 19:01:49

文科省との対話(3)報告篇①

テーマ:PTA
一昨日夕刻、担当者氏と話すことができた。
午後の早い時間に電話をし、あらかじめ「質問準備篇」(前記事)に目を通しておいてくれるようお願いしておいた。

以下、「質問準備篇」(前記事)にそっての話し合いの報告です。
報告篇①では、[前回の質問への返答①②③]と【質問1,2,5,6】についてご報告し、報告篇②では、【質問3,4,】の報告をします。


[前回の質問への返答]
①奈良県P連とは連絡は取れたが、市P連の担当者とは連絡が取れない。
引き続き連絡をするよう努める。
県のほうには当方の言い分を伝えておいた、とのこと。

②日P事務局長に問い合わせたが、日P本体および県レベルにおいて「入会の適切化」について話し合われた形跡はない。
ただし、市P連レベルではそのようなことが話題になっているところもあると聞いたことがある、とのこと。
う~ん、あの時のH係長の発言はなんだったのだろうか?
(H元係長が現在どこに出向しているのか担当者氏は把握していないとのこと。)

③日Pの歴代事務局長は文科省出身ではない。文科省出身は今の事務局長をいれて二人で、現事務局長も「決して天下りではない。」とのこと(現事務局長氏より強調しておいてほしいと頼まれたそうだ)。
事務局長のポストがしばらく空席になり、事務に支障をきたしていたことから就任を要請されたそうな。なお、出向ではなく、退職後の就任。
下種の勘ぐり、失礼いたしました<(_ _)>。


【質問1】(質問の趣旨:文科省は保護者の置かれた悲惨な状況に目を向けているのか?)
保護者の置かれた悲惨な状況について、担当者氏は今ひとつピンと来ていないようだった。
PTA担当になって間もないこともあるのかもしれないが、「直接切実な相談を受けたりしたことはない」そうだ。

読売の記事に紹介されている「実態調査」は、どうもわれわれがその記事から期待していたものとは違うようだ。
その「実態調査」とは、平成20年度スタートの「保護者を中心とした学校・家庭・地域連携強化及び活性化推進事業」の一環として行われた調査で、学力格差や道徳の授業やクラブ活動についての保護者の意識を探り、それを踏まえてPTA活動でどんなことをすればいいかを考えていくというものだそうだ。
学力格差についての親の意識を探ることとPTA活動の活性化とがどうつながるのか、私には意味不明である。

その調査には、PTA活動に付随する悩み事を聞くような項目はまったくないということだ。
また、保護者の悩みを聞く予定は?と問いかけると、「今のところ、調査の予定はない」。(悲)


話をしている時は、学力格差等について保護者の意識を調べてもらうのは、それはそれでありがたいとも思ったが、それを調べたからと言って何がどうなるとも思えないことに時間とお金をかけるくらいなら、なぜ「苦情が殺到している」問題について探ろうとしないのか、本当に納得がいかない。


【質問2】(質問の趣旨:学校・PTAぐるみの人権侵害が許されるとは思えない!)
これは、うれしいことに当方の主張をよく理解してくれ、仙台市立八木山小と西多賀小PTAの不適切な入会のあり方について、是正に向けての働きかけをしてくれることになった。(その際、「法令遵守の観点」という場合の「法令」とは具体的に何を指しているのかとの質問があった。「何かの法律に反しているという意味ではなく、義務付ける法令がないのに義務であるかのごとく人の行動を縛るところに、不法性があると考えている」と述べたところ、了解してくれた。)
さしあたりの窓口は市P連事務局長。
そして、両小学校のみならず、その他の市内小中学校についても、不適切な事例がないか点検することも要請してもらえることになった。
(以下、もう少し具体的に書いておくと― )
前回の文科省と市P連事務局長との話し合いでも、事務局長より「大変誤解を招く表現だ」という発言があったわけだか、
今回、文科省より、改めて
「不適切だと思われるので、適切な方向にしていってほしい。」
といった申し入れをしてもらえることになった。

関連質問①
教育基本法に抵触しないかという問題。
担当者氏は、この突っ込みに対して、「『この学校はPTAには全員参加です』という文言が、ただちに『PTAに入らないと学校に入れないんだ』という印象を保護者に与えるか疑問だ。」との見解。
当方は、「第三者的な目で見れば、『PTAに入らないからと言って学校に子どもを通わせられないわけがない。』と冷めた目で判断できるかもしれないが、実際に子どもと校門をくぐる親の立場に立って考えるべきだ!」と反論しておいた。
「間違った印象を与えかねない。」というだけでも、大問題なのではないのか?

結局、最後に担当者氏が言ったのは、「適法か違法かは行政では判断できない。それは司法の領分です」。
明らかに問題がなければ、「これこれこういう理由により、問題はありません!」と明言するわけで、痛いところを突いていることは確かだなと思っている。

関連質問②
上に述べたように、西多賀小の件についても是正されることになった。
ただし、個人情報の流失の件(論点②)については、保護者が学校に提出する書類にプライバシーポリシーがきちんと記されていれば問題はないのでは、とのこと。
「子ども会」については、部署が違うとのこと(担当部署はあり、具体的な部署名は次回返答)。


【質問5】(PTA問題解決に向け、どう取り組もうとしているのか?)
課レベルの課題にはなっているが、施策として打ち出す段階ではない、とのこと。
「いったいPTAのどのような点が問題になっているのか」が聞けなかった。
次回は、もう少し具体的に聞いてみたい。

関連質問
(「地域の教育力の低下」を裏付けるものがあるのか?)
「調査はした。データはある。」とのことだが、くわしい話は次回の話し合いのときに教えてもらえることになった(この件は担当者氏の管轄外)。


【質問6】(文科省は子どもの人権に対してもっと敏感であってほしい!)
具体的な事例につき相談を受けたら、文科省として「事実確認」を行うと言ってくれた。
さすがに、学校行事における児童・生徒の差別待遇はまずいと考えたようだ。

一方で、現在地方の小中学校の先生で文科省に研修(仕事)に来ている方たち何人かに担当者氏が確認してくれたところ、「PTAから運動会や卒業式の記念品を出すことはやめる方向になっている。」とのことだった。
非会員の人たちから声が上がったことがきっかけになったケースが多いようだ。

担当者氏としては、「文科省から言われたからというのではなく、そのように『自治的に解決』されるといいと思っている」そうだ。
一理はあるとは思うものの、保護者の微妙な心理にもっと配慮してほしいなと思った。
声をあげられる人ばかりではないし、子どもを人質にとられているという側面がないことはない以上、声をあげられないことをだれも責められないと思うのだ。
それに、そもそも現場の先生達は何をしているのだろうか?
当方が問題にしているのは、「学校行事における問題」なのだ!
ご自分たちの仕事の問題でしょ!

それにつけても、学校長にはもっとしっかりとしてほしいと思う。
そのためにも、PTAに依存した学校運営は、もうやめるべきではないだろうか。

追記:【質問2】のところで話題にあがった「どの法令に触れるか?」ということに関してだが、①法令的に義務付けられていないことを強制することは、思想信条の自由を侵害するものであり、民法第90条の言う「公序良俗違反」となるはずだ。また、②入会および会費の支払が義務であると錯誤させているという点も問題であり、これは、民法第96条の言う「詐欺」に当たると考えられる。
この点は、次回の話し合いのときにぜひ指摘しておきたい。

なお、PTAの問題を、思想信条の自由の侵害(憲法)・公序良俗違反(民法)の観点から追及するに当たっては、拙ブログでも取り上げた甲賀市自治会判決がたいへん参考になる。






1 ■好い感じです!
実に貴重なリポートで、好い感じです!
御疲れ様でした!!
事務局長の「天下りではない」に関しては、「だ・か・ら、そ~ゆ~のも天下りなのっ」という印象を持ちました(笑)。
「実態把握」については不可解です。
昨年(2008)5月.23日の「第169回国会 文部科学委員会 第11号」の会議録――http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/169/0096/16905230096011a.html――の最終部分には、「社会教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」に「政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである」とあって、その幾つかある「政府及び関係者が特段の配慮をすべき事項」の五番目にこう書かれているからです。
●地域における教育力の向上のため、学校、家庭、地域等の関係者・関係機関の連携を推進し、各施設資料の相互利用や人材の相互活用などを図るとともに、多様な地域の課題等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進すること。なお、その際、学校、家庭、地域の連携を推進する上で重要な役割を果たすPTAについて、その活動や運営などの実態把握に努め、「学校支援地域本部事業」における連携が円滑に進むよう十分配慮すること。●
【PTAについて、その活動や運営などの実態把握】という箇所との結構遠い距離を私は感じました。
2 ■Re:好い感じです!
>FJNさん
御意!であります。
またまた重要情報をご提供頂き、感謝致しますと共に、早速活用させて頂きますこと御了解願います。
毎度ありがとうございます、です。

>まるおさん
このところPTA問題は深夜作業となっておる関係上、このような時間に失礼致します。

本当にお疲れ様でした。
レポートを首をなが~くして待っておりましたが、読んでパワーアップ致しました。ありがとうございます。
私も今度電話する際、S氏に突っ込みを入れようと思います。「しらばっくれるな!」と。
その他コメント、後日致します。
ところで、3年前のH氏、広報のH氏ではないですか?彼はそこにも在籍していたようですよ。
ネットで検索したらそのような経歴でした。
3 ■Re:好い感じです!
>FJNさん
FJNさん、国会の会議録の情報、ありがとうございます!

「PTAについて、その活動や運営などの実態把握に努め」
とあるのですね。

前回の「実態把握」をめぐる担当者氏の対応は、なんなのでしょうね?
国会で決まったことを全く無視しているように思えます。
『読売』に書いてあったこととあまりに整合しないので、おかしいとは思ったのですが。

次回の話し合いで、しっかりと確認したいと思います。
情報、ありがとうございます。

>あり方とはさん
こちらこそであります。
わたしもあり方さんにパワーをいただいています。

H氏の件、その方とは違うようです。
ありがとうございました。
4 ■ここで言う「法令」とは「憲法」のこと。
追記のところにも書いてあるけど…。

ここで言う「 法令 」とは
「 憲法 」( 近代法 )のことだよね…。


文科省のお役人がそんな質問するなんて…、
なんか不思議…。

5 ■Re:ここで言う「法令」とは「憲法」のこと。
>里山たぬ子さん

確かに、PTAをめぐる文科省の振る舞いを見ていると、憲法をどんだけないがしろにすれば気が済むんだ!と言いたくなりますねw。

さはさりながら、前回の担当者氏の発言は、改善の方向に動くと決めたうえで、先方に話を切り出すときの参考として、思い当たる「法律」があれば教えてほしい、というニュアンスだったです。