2014-03-27 18:50:10
ラジオ出演で語ったこと(本番篇)
テーマ:PTA問題の実際的解決をめざして
本番でのやりとりを、以下に紹介します。
(できるだけ会話を忠実に再現するようにしましたが、あいづち等を省くなどの表現の調整はしています。)
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本名正憲氏(以下、本名) 卒業シーズンになりましてね、今日は親御さんのお話しなんですけども、学校を卒業して、例えば、小学校が終わって今度中学校。小学校でPTAの役員をなさった方など、ほっとした部分があるんじゃないかと思います。また、でも新しい学校に行くとそこにまたPTAなどの組織があって、何かいろいろやる、引き受けるということになるんじゃないかなと思います。
子どもを持つ親御さんは、学校のPTAの役員をやったり、行事に出席したり一度は活動に関わったことがあると思いますが、それぞれ思いがあるんじゃないかと思います。この時間は、PTAのあり方を研究している文化学園大学現代文化学部教授の加藤薫さんにお話しをうかがいます。
加藤さん、おはようございます。よろしくお願いします。
加藤 おはようございます。よろしくお願いします。
本名 負担の声はよく聞きますよね。むしろ、そうじゃない人の方が少ないんじゃないかと思いますけど、これ、どういうことが背景にあるんでしょう。
加藤 負担を感じている方は本当に多いと思うんですけど、少子化、子どもの数が以前に比べて半分くらいに減っているということがありますね。子どもの数が減れば当然親の数も減るわけで、それでいて、PTAの仕事というのは以前と較べて減っていないか、むしろ増えているところがありますので、負担が増えて当然と言えます。また、親の数が減っているだけじゃなくて、働きに出ているお母さんの数が以前に比べて非常に増えているということがあるので、単純に役員のなり手の数がすごく減っていると。ですから、一人一人の負担が増えてしまっているということになると思います。
本名 そうですか。もちろんお母さんが働いているケースはあるんですけど、やはり、少子化というのは大きいわけですよね。
加藤 そうですね。もう半分くらいに減っているという、そして学校の数はそれほど減っていませんよね。
本名 そうですね。
加藤 ということは、一人の人がいろいろなことをやらなくてはいけなくなっていると。
本名 学校の生徒さんの数が減っても減ったなりに、今度はきめ細かくいろいろなことをやるということになってくるので、仕事が増えたりしますよね。
加藤 はい。地域との連携をやっていきましょうとか、防犯活動をやりましょうとか、今、いろいろなことをPTAはやっていますからね。
本名 そうですね。
加藤先生ご自身もPTAの役員をやったことがあるそうですね。
加藤 もう10年くらい前の話ですけども、2年間、けっこうみっちりと、地域環境改善委員なんていうのをやっておりました。
本名 それ、引き受けてみて、どうでした?
加藤 他に引き受ける人がいなくて、事情のある人に押し付けられそうになったので、「それでは私が」ということで手を挙げたんですが、まあ、それなりに意義は感じましたけれども、なくても困るものではないなと思いました。そして、一緒に仕事をしているお母さんが追い詰められて、体調を崩して入院するなんて人が出たりしてですね、
(本名 ええっ!)
これはもうとんでもない世界だなと思ったことが、(日本文化論の一側面としてPTAを)研究するきっかけになっております。
本名 ああ、そうですか。
その研究のお話しで言いますと、もちろんうまく行っている例というのもあるわけですよね?
加藤 ほとんどのPTAでは基本的には押し付けですね。入会を意志の確認をしないでさせてしまう。会員にしてしまう。で、仕事もクラスから5人出せという形で、誰も手を挙げないときにはくじ引きで押し付けると。
本名 よく聞きますね。
加藤 どうしてもできないんだったら、診断書を出せという学校もありますね。
(いっぽう)ごく少数ですが、最近ですね、自由参加ということを原則にして、入会は強制しません、活動も強制しません、で、入らなくてもお子さんに不利益はないですよということをきちんとアナウンスをして、正々堂々と活動をするPTAがほんのわずかですけど出てきています。
広島の近く、岡山の市立西小学校のPTAが全国に先駆けてと言っていいと思うのですが、自由参加ということを打ち出して、やられています。
本名 あのう、自由参加だとちゃんと人が集まるのかな?という不安があると思うのですが。どうなんでしょう?
加藤 そこは確かに不安は不安で、だから改革に踏み切れないPTAが多いと思うのです。けれども、他に札幌でもやっているところがありますが、ふたを開けてみたら9割以上の方が参加している。95%とかですね。
その代わり、従来あった活動を減らしたりとか、手を挙げてくれる人の数に応じて活動を調整したりといった工夫はされておりますけれどもね。
本名 ああ、そうですか。
じゃあ、うまく行っているというケースの一つですね。
加藤 まあ全国的に片手くらいかなと、私なんかが把握しているのは。それくらいまだ本当に数が少ないんですけどね。
本名 私も下の娘がこの間小学校を卒業しましてですね。六年間ずっとPTAの役員をやりました。で、娘の五年時にはPTAの会長もやったんですね。
ただですね、これ、たいへんだと思いましたけれど正直、ただ、みなさんにできることはできるし、できないことはできないんで、仕事などもありますから。で、皆さんで助け合ってという形で、まあうまい具合に回してもらったといいますかね。私自身がどうこうというよりも。それはもちろん先生方のすごい協力もありましたし。そんな感じだったですね。
もちろん、その、お母さま方は大変な負担を感じられて、選ぶのはもう大変紛糾するというのはもうどこの学校とも同じような状況ではあるみたいです。ただ、実際されてみると、終わった後「やってよかったです」というふうに、この間も総会、あの役員会がありまして、そうやっておっしゃってくださるお母さま方が多いので、ちょっと救われた気がするんですね。これ、毎年のことなんです。
加藤 なるほど…。ただ、そういうふうに表にですね、そういう総会だとか、会長さんや校長先生の前でお母さま方が口にすることと、実際内々で抱えていて、母親同士の仲間で出てくる声というのは違う面があってですね。やってよかったという人もいれば、やってほんとうに傷ついた、意義が感じられなかったという人も同時にいるわけで…。
その両方を見ていく必要があるかなと。そして、嫌だという人がいるんだったら、その人は基本的には参加しなくてもいいようにするのが(あるべき姿だと考えます)。
PTAというのは法的に参加が義務付けられているわけではないので、ボーイスカウトとか婦人会と同じ位置づけですから、そこはそれぞれの選択を重視すべきかなと思います。
じゃあ、学校との関わりは何にもしなくてもいいのかと言えば、そんなことはなくて、ボランティアの協力の要請があればできる人は参加するとか、あるいは、基本は、担任の先生と保護者が学期の節目に、保護者懇談会とか学級懇談会とか呼ばれる集まりがありますね。その集まりにきちんと出席をして、担任の先生や保護者仲間としっかり情報交換、意見交換をしていく。ここのところをしっかりやっていくのが基本で、で、応用として、やる気のある人がいろんなイベントを実行したりするのがいいんじゃないかなと思っているんですけどね。
本名 なるほど。そうすると、従来の形のPTAの、いわゆる役割的なものはもう変わってきているし、ひょっとしたらその役割というものも終わったかもしれないというところがあるわけですね?
加藤 私はそう思っていますね。従来のPTAは、むしろ、おやじの会と呼ばれるものがありますね。
あれに、おふくろさんにも入ってもらってやればいいのではないか。ほんとに、おやじの会を見ていると楽しそうで、何かそれで傷ついたり、体を壊したりしている人はいませんね。
あれに、おふくろさんに入ってもらってどんどんやりたいことをやってもらって、一方で、(基本的な)学校とのコミュニケーションは保護者懇談会で、学級懇談会でしっかりしていくというのがいいんじゃないかなと。
本名 なるほど。ひとつやっぱり、おやじさんたちがですね、ここでやっぱり出番ですね。
実は私も上の娘のおやじの会にも入っていましたし、下の娘の小学校もおやじさんたちがよく飲む学校でね、そういう意味で確かにすごくコミュニケーションをうまくはかれたんじゃないかなという気はいたします。
加藤 そうですか。本名さんのお立場、すごくおもしろいと思うのですけれども、PTAをおやじの会的なものに切り替えていくというのは一つの可能性としてありますですかね?
本名 そこでそういう志向性を持ったリーダーがいたものですから…。
加藤 本名さん自身も(すでに)そういうふうにされていたのかもしれないですね。
本名 そうかもしれません。そういう流れを作る人がいて、そこからちょっと変わってきたところが、どうもPTAの歴史から見るとあるみたいですね。
加藤 おやじの会って、手を挙げた人がいるのに応じていろいろな活動を組んで、(つまり)まず個人のやる気が先にあってそれから仕事が考え出されると思うんですけども、PTAってどうも一般的に言えば、最初に仕事があって、個人をそこに巻き込んでいくというふうになっているので、その方向性を変えられればなと思っています。
そのモデルになるのがおやじの会かなと思っているのですけどね。
本名 そうですか。今日はぜひみなさんも参考にしていただきたいなというお話しでした。どうもありがとうございました。
加藤 ありがとうございました。
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補足と感想については、次のエントリで取り上げる予定です。
(できるだけ会話を忠実に再現するようにしましたが、あいづち等を省くなどの表現の調整はしています。)
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本名正憲氏(以下、本名) 卒業シーズンになりましてね、今日は親御さんのお話しなんですけども、学校を卒業して、例えば、小学校が終わって今度中学校。小学校でPTAの役員をなさった方など、ほっとした部分があるんじゃないかと思います。また、でも新しい学校に行くとそこにまたPTAなどの組織があって、何かいろいろやる、引き受けるということになるんじゃないかなと思います。
子どもを持つ親御さんは、学校のPTAの役員をやったり、行事に出席したり一度は活動に関わったことがあると思いますが、それぞれ思いがあるんじゃないかと思います。この時間は、PTAのあり方を研究している文化学園大学現代文化学部教授の加藤薫さんにお話しをうかがいます。
加藤さん、おはようございます。よろしくお願いします。
加藤 おはようございます。よろしくお願いします。
本名 負担の声はよく聞きますよね。むしろ、そうじゃない人の方が少ないんじゃないかと思いますけど、これ、どういうことが背景にあるんでしょう。
加藤 負担を感じている方は本当に多いと思うんですけど、少子化、子どもの数が以前に比べて半分くらいに減っているということがありますね。子どもの数が減れば当然親の数も減るわけで、それでいて、PTAの仕事というのは以前と較べて減っていないか、むしろ増えているところがありますので、負担が増えて当然と言えます。また、親の数が減っているだけじゃなくて、働きに出ているお母さんの数が以前に比べて非常に増えているということがあるので、単純に役員のなり手の数がすごく減っていると。ですから、一人一人の負担が増えてしまっているということになると思います。
本名 そうですか。もちろんお母さんが働いているケースはあるんですけど、やはり、少子化というのは大きいわけですよね。
加藤 そうですね。もう半分くらいに減っているという、そして学校の数はそれほど減っていませんよね。
本名 そうですね。
加藤 ということは、一人の人がいろいろなことをやらなくてはいけなくなっていると。
本名 学校の生徒さんの数が減っても減ったなりに、今度はきめ細かくいろいろなことをやるということになってくるので、仕事が増えたりしますよね。
加藤 はい。地域との連携をやっていきましょうとか、防犯活動をやりましょうとか、今、いろいろなことをPTAはやっていますからね。
本名 そうですね。
加藤先生ご自身もPTAの役員をやったことがあるそうですね。
加藤 もう10年くらい前の話ですけども、2年間、けっこうみっちりと、地域環境改善委員なんていうのをやっておりました。
本名 それ、引き受けてみて、どうでした?
加藤 他に引き受ける人がいなくて、事情のある人に押し付けられそうになったので、「それでは私が」ということで手を挙げたんですが、まあ、それなりに意義は感じましたけれども、なくても困るものではないなと思いました。そして、一緒に仕事をしているお母さんが追い詰められて、体調を崩して入院するなんて人が出たりしてですね、
(本名 ええっ!)
これはもうとんでもない世界だなと思ったことが、(日本文化論の一側面としてPTAを)研究するきっかけになっております。
本名 ああ、そうですか。
その研究のお話しで言いますと、もちろんうまく行っている例というのもあるわけですよね?
加藤 ほとんどのPTAでは基本的には押し付けですね。入会を意志の確認をしないでさせてしまう。会員にしてしまう。で、仕事もクラスから5人出せという形で、誰も手を挙げないときにはくじ引きで押し付けると。
本名 よく聞きますね。
加藤 どうしてもできないんだったら、診断書を出せという学校もありますね。
(いっぽう)ごく少数ですが、最近ですね、自由参加ということを原則にして、入会は強制しません、活動も強制しません、で、入らなくてもお子さんに不利益はないですよということをきちんとアナウンスをして、正々堂々と活動をするPTAがほんのわずかですけど出てきています。
広島の近く、岡山の市立西小学校のPTAが全国に先駆けてと言っていいと思うのですが、自由参加ということを打ち出して、やられています。
本名 あのう、自由参加だとちゃんと人が集まるのかな?という不安があると思うのですが。どうなんでしょう?
加藤 そこは確かに不安は不安で、だから改革に踏み切れないPTAが多いと思うのです。けれども、他に札幌でもやっているところがありますが、ふたを開けてみたら9割以上の方が参加している。95%とかですね。
その代わり、従来あった活動を減らしたりとか、手を挙げてくれる人の数に応じて活動を調整したりといった工夫はされておりますけれどもね。
本名 ああ、そうですか。
じゃあ、うまく行っているというケースの一つですね。
加藤 まあ全国的に片手くらいかなと、私なんかが把握しているのは。それくらいまだ本当に数が少ないんですけどね。
本名 私も下の娘がこの間小学校を卒業しましてですね。六年間ずっとPTAの役員をやりました。で、娘の五年時にはPTAの会長もやったんですね。
ただですね、これ、たいへんだと思いましたけれど正直、ただ、みなさんにできることはできるし、できないことはできないんで、仕事などもありますから。で、皆さんで助け合ってという形で、まあうまい具合に回してもらったといいますかね。私自身がどうこうというよりも。それはもちろん先生方のすごい協力もありましたし。そんな感じだったですね。
もちろん、その、お母さま方は大変な負担を感じられて、選ぶのはもう大変紛糾するというのはもうどこの学校とも同じような状況ではあるみたいです。ただ、実際されてみると、終わった後「やってよかったです」というふうに、この間も総会、あの役員会がありまして、そうやっておっしゃってくださるお母さま方が多いので、ちょっと救われた気がするんですね。これ、毎年のことなんです。
加藤 なるほど…。ただ、そういうふうに表にですね、そういう総会だとか、会長さんや校長先生の前でお母さま方が口にすることと、実際内々で抱えていて、母親同士の仲間で出てくる声というのは違う面があってですね。やってよかったという人もいれば、やってほんとうに傷ついた、意義が感じられなかったという人も同時にいるわけで…。
その両方を見ていく必要があるかなと。そして、嫌だという人がいるんだったら、その人は基本的には参加しなくてもいいようにするのが(あるべき姿だと考えます)。
PTAというのは法的に参加が義務付けられているわけではないので、ボーイスカウトとか婦人会と同じ位置づけですから、そこはそれぞれの選択を重視すべきかなと思います。
じゃあ、学校との関わりは何にもしなくてもいいのかと言えば、そんなことはなくて、ボランティアの協力の要請があればできる人は参加するとか、あるいは、基本は、担任の先生と保護者が学期の節目に、保護者懇談会とか学級懇談会とか呼ばれる集まりがありますね。その集まりにきちんと出席をして、担任の先生や保護者仲間としっかり情報交換、意見交換をしていく。ここのところをしっかりやっていくのが基本で、で、応用として、やる気のある人がいろんなイベントを実行したりするのがいいんじゃないかなと思っているんですけどね。
本名 なるほど。そうすると、従来の形のPTAの、いわゆる役割的なものはもう変わってきているし、ひょっとしたらその役割というものも終わったかもしれないというところがあるわけですね?
加藤 私はそう思っていますね。従来のPTAは、むしろ、おやじの会と呼ばれるものがありますね。
あれに、おふくろさんにも入ってもらってやればいいのではないか。ほんとに、おやじの会を見ていると楽しそうで、何かそれで傷ついたり、体を壊したりしている人はいませんね。
あれに、おふくろさんに入ってもらってどんどんやりたいことをやってもらって、一方で、(基本的な)学校とのコミュニケーションは保護者懇談会で、学級懇談会でしっかりしていくというのがいいんじゃないかなと。
本名 なるほど。ひとつやっぱり、おやじさんたちがですね、ここでやっぱり出番ですね。
実は私も上の娘のおやじの会にも入っていましたし、下の娘の小学校もおやじさんたちがよく飲む学校でね、そういう意味で確かにすごくコミュニケーションをうまくはかれたんじゃないかなという気はいたします。
加藤 そうですか。本名さんのお立場、すごくおもしろいと思うのですけれども、PTAをおやじの会的なものに切り替えていくというのは一つの可能性としてありますですかね?
本名 そこでそういう志向性を持ったリーダーがいたものですから…。
加藤 本名さん自身も(すでに)そういうふうにされていたのかもしれないですね。
本名 そうかもしれません。そういう流れを作る人がいて、そこからちょっと変わってきたところが、どうもPTAの歴史から見るとあるみたいですね。
加藤 おやじの会って、手を挙げた人がいるのに応じていろいろな活動を組んで、(つまり)まず個人のやる気が先にあってそれから仕事が考え出されると思うんですけども、PTAってどうも一般的に言えば、最初に仕事があって、個人をそこに巻き込んでいくというふうになっているので、その方向性を変えられればなと思っています。
そのモデルになるのがおやじの会かなと思っているのですけどね。
本名 そうですか。今日はぜひみなさんも参考にしていただきたいなというお話しでした。どうもありがとうございました。
加藤 ありがとうございました。
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補足と感想については、次のエントリで取り上げる予定です。
1 ■こんにちはっ
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ダリレオ 2014-04-03 03:28:01 >>このコメントに返信